SSSS.DYNAZENON 第七話視聴メモ

誰も予想しなかったグリッドナイト(アンチくん)の登場によって締め括られた前回。物語にさらなるイレギュラーが投入されました。大人びたアンチくんに、垢抜けた2代目アノシラスさん、前作とのつながりができました。

 

今回は各陣営の行動原理・行動方針が明確化された回でした。以下、整理していきます。

 

 

第七話:[集まった意味って、なに?]

前回、怪獣優生思想の操るブルバインに大敗を喫した(ナイトくん曰く「不甲斐ない戦い」)ダイナゼノン陣営。機体が一部損壊したものの、グリッドナイトの加勢により、辛うじて生還。ダイナゼノン陣営に接触するグリッドナイト同盟、しかしガウマは協力を拒み……。

 

1.グリッドナイト同盟の行動原理

前作でヒーローに目覚めたアンチくんことナイトくん。かつて彼を介抱したアノシラス(2代目)さんと様々の世界をわたり歩いている模様。ハイパーエージェントになったのかは不明だが、怪獣に破壊されつつある世界を守ることが明確な目的としてある模様。

 

グリッドナイト同盟について(気になる言動/雑感など)

・グリッドナイト同盟の名称は、前作「SSSS.GRIDMAN」のグリッドマン同盟から引き継いだ模様(内海のクソダサネーミングが他の世界にも知られてしまったw)。

・前作の衣装の意匠を残しつつスーツでビシッと決めるナイトくん。立ち姿といい、剣の身に着け方といい、サムライキャリバーさんの影響がモロ出ている。前作視聴者にはたまらん。

→「見極めている」という発言からも、ヒーローとしてのこだわりや自覚が見えてくる。

・ナイトくんの「エネルギー配分を間違えた」旨の発言。今作でもアンチくんには活動限界がある模様。

 

・アノシラス(2代目)の「怪獣が現れると境界が弱くなる」という発言。今回の世界は十中八九自立したコンピューターワールドなので、境界の弱さ=脆弱性と考えるなら原作のようにハッキングのような手段でもって怪獣が生じる可能性も一応は存在(怪獣が育つのは人々の「憂鬱」によってであるから、内部的なバグとも解釈できる)。少なくともグリッドナイト同盟が世界に干渉できた理由にはなる。

 

・「フィクサービーム」は回数制限付き。加えて効果範囲も狭い模様。ナイトくんやアノシラス(2代目)さんには世界を再構成するだけの奇跡を起こす力はまだないらしい。

 

・ナイトくんの「怪獣のいる世界には抗体(antibody)のような存在が現れる」という発言。

→少なくともいくつかの類似した世界(自立したコンピューターワールド?)を渡り歩いてきたことが推測される。「抗体」という表現から、それらの世界で生じてきたのはグリッドマン的な外部の存在ではなく、世界の均衡を保とうとする内部の作用としての存在。この説明を用いるならば、ダイナゼノンが内部の存在であることは確定。5000年前の世界がコンピューターワールドに存在したことになるが……(独立した世界と見るなら違和感はないが、電脳世界の5000年前とは?)。

 

2.怪獣優生思想の行動原理

怪獣についてのシズムの説明を受けてから、過去の記事では「社会の軛(くびき)から人々を解き放つのが怪獣」という旨を主張してきたが、実際には彼らはその一歩先を行っていた模様。

・オニジャの「個人の感情で人を殺すのではなく、人間全員を殺す」旨の発言。

人間社会の破壊と怪獣のみの社会の形成が目的であることが示された。この発言の方向性からするに「怪獣使いは人間ではない」ということになる。怪獣でもなく、人間でもない中間的な「常識の外」の存在が怪獣使いなのだろうか?

 

・シズム「革命の前に敵が増えるのは普通」

→オニジャの発言に照らすなら、人間社会を完全に破壊することが「革命」になる。怪獣の頻出やイレギュラーが生じることが「良い兆候」、とするならば「革命」の時には怪獣が地上を覆い、凄惨な闘争が生じることになる。黙示録的?

 

・夜通し怪獣を強化していくムジナとオニジャ、側で見守るシズムと眠るジュウガ。ジュウガを見たシズムが「本当の怪獣使いは眠らない」と呟く。

→怪獣を掴んで操ることで、怪獣側に近づいた存在(「常識の外にいる」*1状態)になることを意味するのだろう。徹夜した三人(ムジナとオニジャ、シズム)は「怪獣使い」で、ジュウガはそうではないという分類になってしまうが……。まさかとは思うが、ジュウガの裏切りフラグ?

 

怪獣優生思想の不気味さ

第5回でビーチランドを満喫している様子などを見るに彼らは人間社会にかなり溶け込んでいるように見えるし、振る舞いにはある程度の理性が感じられる。しかしながら、以前の記事で指摘したように、その行動は恣意的でかなり行きあたりばったりなもの(怪獣の発生が偶発的なものであることを考えると仕方がない部分もあるが)。人間社会を楽しむ姿勢の裏で、「人間を全員殺す」ことを目標として掲げる。

 「思想」と「恣意」の対照性、人間社会の「破壊」と「満喫」という矛盾、「理性」と「破壊衝動」の両立。悪役としてはかなり気味の悪い部類ではないだろうか。

 

3.ダイナゼノン陣営の行動指針

ガウマの「バラバラだから出会った」という発言が印象的。個々人の目的がバラバラでも同じ方向を向いて戦うという姿勢。ナイトくんもこの言葉に刺さるものを感じたのだろう。

 

ガウマの生き方

ダイナゼノンを託した女性から教わった通りに感情を大事にして生きるガウマ。手の届かない所にいたようなその人がダイナゼノンを託してくれたことを「粋だろう」と語りながら男泣き。どこまでも真っ直ぐなガウマを作ったのは彼女なのだろう。

 

暦の葛藤

タチバナが戦闘に巻き込まれたことを確認し、助けに行く暦。自分の嫌いな人だという感情と、恐らくは、稲本さんが悲しむだろうという思いやりの間の葛藤。助けたところで自分に利益はない。それでも助けることを選択する。自らの思い人のために。稲本さんが「タチバナをもっと大切にしなきゃ」と言うのを電話越しで聞く彼の複雑な胸の内が察せられる。ちせから差し出され飴をガリっと一噛みで粉砕。やりきれなさと、過去と決別できるかもしれないと言う清々しさ。それから、思い人が悲しまずに済んだことの喜びが滲んでいるように思う。

 

蓬の愛情

「南さんの中にお姉さんがいるなら、それは他人じゃない。」

かなり強力な発言が出たが、それって実質的に告白じゃねぇか……。他者を自分のことのように思いやる姿勢。蓬の優しさと夢芽への愛情が見えてくる(愛情が重すぎる気もするが)。まさに麻中之蓬ですね。

 夢芽は蓬と一緒に再び姉と向き合うことを決め、センダフタバを探すことにしたわけだが、姉に縛られっぱなしの夢芽を蓬は支えられるのか。鳴衣さんっていう「お母さん」がいるからそう簡単に夢芽も挫けはしないとは思うが。*2

 

4.その他気になる点

・夢芽がアンクの知恵の輪に縛られているのは、香乃を失った過去があるから。では、香乃があれほど知恵の輪に執着した理由は何だろうか。

 ・ちせの手に入れたバロック(歪んだ真珠)から次第に枝か菌糸のようなものが伸びている。真珠は第一話でばら撒かれたものであることを鑑みるに、怪獣を生み出す目的で使われるのは間違いないだろう。では、ちせの持つバロックから生まれるのは怪獣か、それともナイトの言う「抗体」か。

 

 

今回思いつく限りではこの程度。次回以降の展開がさらに気になってくるところだが……。伏線を広げすぎるこのアニメ、果たして1クールで本当に完結するのやら。

*1:第三話についてのメモを参照

*2:ボイスドラマ第7.7回が素敵な内容(´;ω;`)