SSSS.DYNAZENON 第九話&第十話&第十一話視聴メモ

私生活の方が忙しく、更新が遅れました。そもそも読者の方が本当にいらしたか、わからない記事ではありますが、復習程度の意味で見ていただけるとありがたいです。

 

 

 

第九話:[重なる気持ちって、なに?]

ちせの孤独が描かれ、あっけなく解決してしまった第九話。ちせの心と結びついた怪獣ゴルドバーンが生まれ、怪獣+超人+巨大ロボという漢のロマンの欲張りセットが実現。フタバと出会うも、夢芽の姉の死の真相解明は暗礁に乗り上げる。

 

ちせの孤独

ちせの抱えた「憂鬱」は居場所がないことの孤独だった。周りに馴染めず、教室で孤立。退屈そうに机に絵を描く。左腕に蝶(?)のタトゥー。アームガードの下にあるのが、実際にタトゥーなのか、リストカットをそれとなく象徴するものなのかはわからんが……。

 ゴルドバーンが生まれることでその孤独感はさらに加速。「心を理解する怪獣がいたらどうするか」とガウマに問うも、前話で怪獣を放置した結果として生じた被害、その苦い経験から今度は容赦はしない旨を告げられる。秘密を抱えて右往左往。

 

暗礁に乗り上げた真相究明の営み

かつての職場から連絡を受けて、フタバが蓬に会いにくる。夢芽と対面。

「香乃がいじめに遭っていたのは知っているか」「香乃は自殺したんじゃないのか」といった問いに対して、フタバは「噂は聞いたことはあるが見たことはない。認める人もいないと思う」「香乃は自殺なんかしない」「警察の人も事故だって言っていた」という煮え切らない感じの受け答え。夢芽が息を吸い込む音が怖い( ゚д゚)

 手元の結婚指輪。時計を見て帰ろうとするフタバ。「香乃とどうしてちゃんと向き合わなかったのか」という詰問に対しては「普通そう思うよね」と応じる。どこまでも自分の気持ちを語ろうとしない姿勢に視聴者もイライラ。どこか香乃の死から逃げようとする姿勢と同時に、心に抱えた後悔と闇の深さも感じる。今度の伴侶で同じ過ちを繰り返すなよ……。

 

夢芽とちせ

 真相解明も暗礁に乗り上げ、行き場のない悲しみとやりきれなさと怒りとを抱える夢芽。怪獣が現れ、出動しようとする蓬に対して「後で行く」。蓬は夢芽を置いてガウマ達の元へ。蓬、フタバの轍を踏んでるじゃねえか……。

 水門の上。一人で泣く夢芽(その背中がどこか前作のアカネに似ている)。そこに訪れるちせとゴルドバーン。姉の死を追っても何もいいことがなかったと言う夢芽に対して、本当に何もいいことはなかったのか?と詰め寄る*1

 「あの人、真っ直ぐ向かって来ましたよ」「アンタ、ゼイタクなんだよ」

 ちせが心に抱えた毒が表出。落下事故寸前のところをゴルドバーンに救出されたのちガウマたちの元へ。

 

怪獣と超人と巨大ロボと

 ジュウガの操るギブゾーグに苦戦するガウマとグリッドナイト。そこにゴルドバーンが現れ、危機を救う。今回、獅子奮迅の活躍のゴルドバーン。

 怪獣、超人、巨大ロボの欲張りセット「カイゼルグリッドナイト」で勝利。男の子ってああいうの好きなんでしょシリーズに入りますね。こういうの好きです、大好物です(☝︎ ՞ਊ ՞)☝︎

 

セルフの祭り

「みんなで戦わないと勝てない」「ちせ、お前もだ」。ガウマの力強い言葉を受けて、居場所を見つけたちせ。たった一話にして秘密が明らかになり、ほぼ解決。

 皆で祭り会場へ急ぐも既に誰もおらず……。線香花火やら飲み物やら食品やらを持ち寄ってセルフのお祭り。夢芽は一度帰宅し、すぐ帰ってくるとのことだったが遅い……。迎えに行こうと蓬が駆け出した先に夢芽。

 このエンディングの演出は正直憎いほど良かった。

 

第十話:[思い残した記憶って、なに?]

 怪獣の力を受けて、2代目とちせを除いて皆後悔のある過去へ。1クールで終わらせるために強引に過去に決着をつけた感じは否めない。怪獣優生思想、特にシズムの過去も気になるところではあるが特段の描写はなし。夢芽の持つアンクの知恵の輪が特に象徴的な話だった。

 

各人の後悔

ここでは登場人物各人が抱えた後悔について整理。夢芽については別の項(アンクの描写に関する項)で整理。

 

暦の後悔

稲本さんと向き合うこと、自分の気持ちと向き合うことから逃げてしまった過去。反実仮想にはなるわけだが、怪獣の作り出した世界の中で稲本さんと一緒に逃避行をしようとする。スクーターにニケツして海まで。

 バッグの中にあった一生遊んで暮らせるお金は海で散ってしまうが、「どうせ偽物」という稲本さんの言葉、稲本さんが自分に向ける笑顔に触れて、自分が執着してきたものに気づく。*2恐らくは、自分が稲本さんに向き合った証として、稲本さんの笑顔が見たかったのではないかと。

 

ガウマの後悔

現実世界に戻ってきた時に語られるが、姫にもう一度会いたいというのがガウマの願いであっった。優生思想の3人を斬り捨てていくが願いは叶わず。怪獣優生思想を斬るうちに「国に利用されるだけされて捨てられた」「裏切り」という語が出てくるが、恐らくは国家間の戦争にでも利用されたものと思われる。過去の回想においてシズムが出てこないことが非常に気になる(ボイスドラマではガウマを入れた5人での宴会の様子が描かれたが)。

 ムジナが消えた際には怪獣優生思想時代のガウマが見えていたが、怪獣優生思想の後悔は十中八九、ガウマと向き合う中で生じたもの。しかしながらシズムは違うように思うが……。

 

蓬の後悔

母の紹介で上条に会わなければという後悔。変えられない過去ではなく、今が重要なんだという思いから、自分の後悔については考えることをやめる。過去を反芻したり、反実仮想に浸ったりした他の人達とはかなり違う向き合い方。夢芽に水門の姉に会いにいくよう促したのも今を生きるためという意味が強いのではなかろうか。

 

ナイトの後悔

狂犬アンチくん時代を回顧。食品が映っていたように思うが、過去の飢えと現在のプライドが戦っていたのだろうか?

 

 

アンクの描写

 前作のラムネ瓶の中のビー玉や「・」のように、今作でヒロインを語る象徴として登場したのは、アンクの知恵の輪。ビー玉よりも直接的にヒロインの心情描写を担うものだった。最初に登場した時は姉の形見として、次第に姉の死による呪縛の象徴として機能してきたアンク。十話ではその役割が大きく変化。ここではOP、九話、十話などの描写を振り返っていく。

 OPにおいては黒のアンクを夢芽の手が、白のアンクを香乃の手が握る描写。十話の内容からするとかなり重要な伏線だった。九話までアンクが担ったのは、過去に縛られ懊悩する夢芽を描写することだった。

 九話において、水門から落下した際に夢芽が握っていたのは白のアンク。握ると同時に姉を思い出す夢芽。ここで色が持つ役割が明確に。黒が夢芽。白が香乃。

 十話では香乃から見たアンクの役割がそれとなく示される。人付き合いに不器用だった香乃は、相手に合わせられる器用な妹、夢芽に羨望を抱き、高校で奮闘するも空回りした部分が大きかった。妹への羨望に縛られる姉を描くアイテムとしてアンクが機能する。

 姉との対話を済ませた夢芽は遂に呪縛から解放される。同時に知恵の輪も解ける。最後のシーンで夢芽は再び知恵の輪を組み合わせ、白のアンクを見つめる。香乃との関係が呪縛から特別なものへと変化したことを示すもので、十一話の墓参りのシーンにおけるアンクの持ち方(二つの輪っかに指を通す持ち方)もこれを裏付ける。十話においては、白のアンクを見つめる構図と、水門で姉の香乃が黒のアンクを見つめる構図が対比されている。それぞれ持つ意味も違う。香乃があそこまでアンクに執着した理由は語られないままだけども、想像の余地が残っていてそれもまた一興。

 道具が人を語るという描写の仕方。それにより味わい深くなる作品。こういう細かいところにこだわるTriggerが大好きです。余談にはなるが、同じスタジオの作った『ニンジャスレイヤー』の絶妙な手抜きもよく考えられていて素晴らしい。作品にとことん向き合うのがTriggerの素晴らしさなのだと。ちなみにアンクの知恵の輪は7500円程度でグッズとして販売される模様。

 

第十一話:[果たせぬ願いって、なに?]

前回で強引な伏線回収を行なった怪獣ガルニクスが撃破されたことで怪獣の種が底をつく。その結果として怪獣のいない世界が実現され、ダイナゼノン陣営は日常へ、怪獣優生思想は解散。

 

怪獣優生思想の解散

ガルニクスが生じた時空間の歪みを通して様々な情動が引き出されるものの、怪獣の種は0に。戦う術を失った怪獣優生思想は必然的に空中分解。オニジャは自分の手で社会を壊す方向へ、ジュウガは怪獣のいなくなった世界であっても怪獣たちのためにできることを模索する方向へ、ムジナはすべきことを失う。そして残ったのはシズムのみ。「怪獣がいなくなると怪獣使いも普通の人間に戻る」との一言。

 後にオニジャは拳銃を奪おうと警官を襲うがあえなく逮捕。(自称5021)の文字には流石に腹を抱えて笑った。ジュウガはガウマに会いに行って今までの行動を咎められた上で殴られる(拳が悲しいほど痛くないという点にガウマの優しさと甘さが滲む)。ようやく見つけた生き方や目標を失ったムジナは、自分と似ていて生き方が定まっていなかったのに、今では先に進もうとしている暦に対して恨言を言いに行く。

 

怪獣のいない世界へ

戦う理由を失ったのはダイナゼノン陣営も同じであって、次第に日常へと戻っていく。ただ、ダイナゼノンに搭乗する以前と違うのは、各人が今まで逃げてきた問題と何らかの形で向き合うことを決めた点にある。

 暦は就職を始め(履歴書の中身がいかんせん寂しい印象)、暦の部屋にいられなくなったちせは中学へ、蓬と夢芽はいつも通り学校へ(夢芽は約束を破った相手にしっかり謝罪)。ガウマはカニ煎餅の差し入れを受ける、ただの優しい人に落ち着く(姫と会えず、姫が怪獣使いでない以上これからも会えないという悲しみは抱えたまま)。

 グリッドナイト同盟は任務を完了したということで、残された唯一のイレギュラーであるゴルドバーンを連れて、この世界から出ていくことにする。ちせに突きつけられたのは最近の心の支えであったゴルドバーンとの離別。合わせて、怪獣が出なくなったことで他のメンバーと会う機会がなくなり、せっかく見つけた居場所からも離れなくてはならないという状況。彼女にとってはかなり残酷に思えてくる。

 

怪獣の世界へ

蓬と夢芽は香乃の墓参りへ。実質的に義姉に挨拶に行くのと同じ……。帰りの河川敷で様々のことが明らかに。研究所からミイラがいなくなったニュースからガウマがそのミイラであることが明確に。

 なんだかんだあって、「ダイナゼノンに乗らなくなっても一緒にいる」「好きです。付き合ってください」という告白を蓬がしたところでシズムが襲来。身を挺して庇うガウマ。シズムの口からは、怪獣としばらく接続しなかったためにガウマが朽ちかけの肉体になっていることが語られる。ナイトがガウマの救出にかかるも一太刀も浴びせることは叶わず、シズムは自分自身を「掴んで」変身。己の肉体に怪獣を飼っていたことが明らかに。

 

怒涛の伏線回収

まずは朽ちかけの肉体という点であるが、風呂場や河川敷などでさらされたガウマのアザが次第に大きくなっていることはTwitterなどでも指摘する人の多い点であった。ガウマが死にかけであり、怪獣をつかむ力が弱まっている点も朽ちかけの肉体から説明がつく。

 次いで、今回はシズムに関する大きな伏線が回収される。「怪獣の言葉がわかる」という特性や、蓬や夢芽に付き纏っていた理由が、シズムの中にある怪獣から説明がつく。自身が怪獣であるが故に怪獣の言葉がわかり、怪獣を内に飼っているが故に、それを成長させるために様々の情動を感じる二人に付き纏っていた。ガギュラに変身する時に手のひらを自分に向けていることも象徴的だ。

 

未回収の設定

個人的に気になる(未回収だと思っている)設定は、蓬がザイオーンに対して怪獣使いの力の片鱗を見せたものだ。ダイナゼノンで普通にガギュラを倒したのでは、見方によってはかなり美味しいこの設定が破棄されることになる。シズムの過去は語られず、いまいち収まりの悪い印象になることは必至であるように思うが、この設定は果たして活きるのか。

 

最終回放送直前になってしまったが、こんな感じで。読んでくださる方がいるかは分かりませんが、復習程度に役立ったのであれば幸いです。

*1:そのシーンの前に夢芽に近づくゴルドバーンに対して、蓬のダイナソルジャーがタックル

*2:掴んだ札束を話す描写から窺える。すなわち、逃避行をすることではなくて、稲本さんから逃げてしまった過去、中途半端にしか向き合ってこなかった過去に縛られていたことに気づく