SSSS.DYNAZENON 第八話視聴メモ

今回は怪獣がどういうものなのかについてアノシラス(2代目)さんやナイト(アンチくん)から説明がなされました。ダイナゼノン陣営が怪獣を野放しにしてしまうという失態を犯し、ナイトがこれを叱責。「被害を出しそうになったら処分しろ」とナイトから指導が入るものの、蓬は怪獣とどう向き合うかで今後も懊悩しそう……。

 一方の怪獣優生思想は、ラウンドワンならぬグラウンドワンで諸々のアクティビティに興じたり、映画を見に行ったりと、遊び漬けの休日を過ごした模様。ますますよく分からない人達だことよ……。

※今回はかなり長いのでご注意ください。適宜目次を利用してご覧ください。

 

 

 

第八話:[揺れ動く気持ちって、なに?]

稲本さんと向き合う暦の心情や、怪獣との向き合い方に迷う蓬の心情が描かれた第八話。今回は二人の「懊悩」をキーワードに据えて物語を追っていきます。

 

1.暦の懊悩

丘の上の校舎、その柵の外にたたずむ暦。稲本さんがかつて立っていた場所で過去を反芻……。

 三話か、四話の「いいものを見せてあげる」で出てきたバッグの中身は大量の札束だった。札束を見せつつ「二人でどこか行こうよ」と誘う稲本さん。怖くなったのか建物を飛び出して逃げ出す暦。走る暦少年(当時中学生)を背景に、現在の稲本さんの声を重ねる。「なんで結婚したんだろ」「もっと夫のこと大事にしなきゃ」*1やりきれなさからか石を握って振りかぶる先にはガラス窓。中学時代の非行少女・稲本さんと同じ行為に及ぼうとしたところでちせからの着信。

 昼時の学校(元から廃校?)、暦は、態度のはっきりしない稲本さんとの向き合い方に懊悩する。前話の帰り際、飴を噛み砕く彼の表情はどこか清々しさを漂わせていたが、やはり過去の呪縛からは逃れられない模様。

 

2.蓬の懊悩

怪獣を捕獲した後、ガウマが怪獣を「掴もう」とするも失敗。戯れにちせ達もインスタンス・ドミネーション」の真似。流れで蓬も真似をすることに。他の人達に同じく、「掴む」ことに失敗したかに思われたが、刹那、動悸が起きて怪獣の中(回路と例の「真珠」)が見えた*2

 夢芽やその他一般人らが取り残されたショッピングモールに怪獣が迫った際には、建物の破壊を避けるために攻撃でなく、「掴む」ことを試みる。一時的に怪獣を掴み、制止できたが、怪獣は目をひんむいて蓬の方を見てくる。結果としてモールに大した損傷は生じず、怪獣もしっかり破壊できたものの、蓬は葛藤することになる(おそらくは「怪獣は本当に殺すべき存在なのか」等々)。

 

蓬の懊悩;怪獣に心?

蓬が今回抱いた大きな問いは「怪獣に心があるのか」である。蓬はナイトにこれを訊いており、ナイトは心を持った怪獣がいることを認めつつも「(ある怪獣に心があると思うのは単なる)錯覚かもしれない」「被害を出しそうになったら処分しろ」と諭す。しかしながら、どこか割り切れない様子。怪獣を撃破したのちに見せる葛藤も、蓬を見つめてくる怪獣に感情のようなものを感じたためであって、理屈としては理解できても感情の方でナイトの話を飲み込めない状況*3

 蓬に怪獣使いの力の芽生えが見えた今回。今までダイナゼノン陣営は「怪獣は倒すべきもの」として向き合ってきたわけだが、怪獣に心のようなものを感じてしまった蓬は今後その路線を外れると思われる。より具体的には、「怪獣による世界」を掲げる怪獣優生思想も、人間社会を守ること、大事なものを守ることを目指すダイナゼノン陣営も理解できる立場に蓬が置かれ、その間で揺れ動くのではなかろうか(もっとも優しい彼のことだから怪獣優生思想ほど極端にはならないだろうが)。蓬の懊悩は長引きそうだ。

 

 

その他ダイナゼノン陣営の動向:夢芽

蓬と夢芽は、姉・香乃の死の鍵を握る(?)フタバ先輩を探して、彼の職場を訪ねる。しかし辞職後であり、個人情報の問題を理由に連絡先はもらえず。不発に終わる。

 重たい気分を察してか、蓬は「どこか寄って行かない?」と誘うも、夢芽は無言のままバスの進行方向に目を移す。

 

 怪獣騒動の帰りのバスでは、今度は夢芽が蓬の気持ちを察して「どこか寄って行かない?」と誘い、蓬がこれに応じる。窓から差し込む光が蓬の顔を照らし、心なしか明るい雰囲気の蓬であった。互いを思いやる関係性、しかし一方で完全には縮まらない距離……、うーむ、じれったい。

 

:ガウマ

怪獣を檻に入れて夜の川を眺めているシーンで「あの人は生き物に優しかったな」と過去を振り返る。「姫」はどこにいるのかや、守らなければならない三つのこと、すなわち「約束」「愛」「……」(不明)を呟いたところで寝落ち。

 「姫」というワード、包帯だらけの容姿、龍のオブジェから原作に出てきたミイラということが確定されるようだが、原作を見ていないのでよく分からん……(^_^;)。すまんかった。

 

:ちせ

ダイナゼノンの最初の戦いの時に土手の上で歪な真珠(バロックパール)を拾った。その真珠は話数を重ねるごとに変形し、前回は軸索が伸びてきた程度の印象だったものの、今回は明確に翼竜に似た形を形成。蓬の視点を通じて怪獣のコアがその真珠であることが明らかになった*4が、ちせのバロックは「怪獣」になるのか、はたまた「抗体」になるのか。

 

3.怪獣って、なに?

今回は、アノシラス(2代目)さんとナイトが怪獣について解説してくれた。この世界(コンピュータ・ワールド)における一般的な怪獣がどういうものなのかについては、概ね答えが与えられたと言っていい。ただ、その解説によって新たに生まれてきた謎もある……

 

怪獣はどこから来る?発生源はどこから?

 今回のアノシラス(2代目)さんやナイトの解説から

「怪獣には、発生源があり、そこに人間の感情が作用することで怪獣が育つ」

・「怪獣が頻出するのは発生源が(おそらくは怪獣優生思想によって)ばら撒かれたため」

「影響を与えた人間の心の成熟具合に応じて、怪獣の能力の良し悪しが決まる」

・「心を持つ怪獣もいるにはいる」*5

といったことが明確に。ガウマが「怪獣でもないのにどうしてそんなことがわかるんだ?」 と訊いていたが、お二人は怪獣なんですよね……。無言の圧力が怖い二人(・_・)

 ここで二つほど疑問が生じてくる。

・あの真珠から怪獣が生まれることは分かったが、では、あの真珠はどこから来るのか?発生源自体は自然に存在しているものなのだろうか?

どうして心を持つ怪獣が生まれるのか?ガウマは二人のことを怪獣と認識できていなかったわけだが、怪獣とそれ以外の線引きはどこにあるのか?

 

怪獣一般とその他の線引きはどこに?

前項で新たに生じた疑問のうち二つ目について掘り下げる。 今作に今までに出てきた怪獣は、怪獣優生思想に操られた怪獣、グリッドナイト同盟の二人、色を塗る怪獣。順に、心を持たない怪獣、心を持つ怪獣、心を持つか不明の怪獣に分類できそう。姿で分類するのであれば、人間態を持つグリッドナイト同盟の二人と、それ以外の怪獣という分類になるか。

 線引きの問題で鍵になってくるのはやはりナイト(アンチくん)。前話ではジュウガがグリッドナイトを掴もうとするも失敗。ナイトの出身は怪獣になるわけだが、なぜこれを掴めないのか?ナイトはハイパーエージェント的な活動をしているらしいが、公式サイトの分類は「???」になっている。その意味するところは何なのだろう?

 

怪獣使いの要件とは?

怪獣について謎が深まると同時に、怪獣使いについても不明な点が出てきた。ガウマは修行を積まないとできないと言っていたが、蓬は修行なしに怪獣使いの能力の芽生えを見せている。一方で、ガウマは怪獣を掴む能力がかなり弱まってきている。怪獣使いになるために必要なものは何なのだろうか。怪獣が生まれることに人間の精神が関わっていること、蓬が必死になった時に一時的に「掴めた」ことからすると、例えば、信念の強さとかになるのだろうか?

 

5.怪獣優生思想の動向

 シズムは怪獣を発見するも「ハズレの怪獣」と言い、その場を去る。その後は他のメンバーを遊びに連れ出して休日を遊び倒しているが、この意図がダイナゼノン陣営側を怪獣に接触させることにあるのは確かだろう。「操るには値しないが、革命のためにさらなるイレギュラーを起こす道具にはなりうる。だから怪獣優生思想のメンバーには敢えて知らせない。」、そういう判断があったのだろう。現に他のメンバーは怪獣の出現にすら気付いていない一方で、シズムだけは怪獣がグリッドナイトらに倒される様子などもしっかりと見ている。

 ムジナとオニジャは前回までの共同作業を通じて急接近。タラバマンに反応するという割とオタッキーな一面も見えた。前話でちせが読んでいた漫画雑誌に描かれたドンシャインといい、今回のタラバマンといい、円谷ネタも随所に見られる。

 

6.その他気になる点・余談

・OPにグリッドナイト同盟の二人とグリッドナイトの画が追加。合わせて、

「SSSS.DYNAZENON」公式サイトにコンセプトアート03.5が追加。主要人物が並ぶ中、画像の端、水門の下あたりに二人が佇む。

 

ロケーション

・今回も前作と重なるロケーションが幾つか背景として使用された。グリッドナイトが初めて登場する第六話以前は「前作とどこか位相のズレた別世界」であることを印象付ける意味があったと思われるが、これ以降は前作ファンへのサービスといった意味合いだろうか。前作は日常風景など見逃しやすいところに伏線を仕込んでいたように思うが、伏線だったりするのだろうか。

 以下、わかる範囲で前回と重なるロケーションを示す(記憶違いだったら申し訳ない)

 

ロケーション1.稲本さんと暦が出会した酒屋の前の路地/前作ではサムライキャリバーさんがラムネを斬ったところ?

 

 

ロケーション2.アンチがゴミ箱を漁っていたところ、六花と出会した場所(ここに関しては自信なし)

 

 

ロケーション3.跨線橋と水門(前作では霧の怪獣が街に溢れる様を眺めた場所/今作ではアンチと蓬が会話した場) 

 

 

 今回はここまで。長くなりすぎた…

*1:投稿者の記憶力は明晰ではないので細かいセリフの違いはご了承ください

*2:怪獣の中身に前作同様に回路が含まれることが分かり、任意のコンピュータ・ワールドであることは自明に。インスタンス。ドミネーションに関する第二話の考察を引き継ぐなら、蓬が世界の真理を見た可能性もないわけではない。但し、回収されない伏線(ちせの過去/ガウマの過去)や完結していない部分(稲本さんと暦の関係性/蓬の家庭問題/夢芽の姉の過去/怪獣優生思想との向き合い方)がまだ山積みであることから、尺の都合などを考えるに、蓬は、この世界がどういうものかを理解するメタ的視点を得て悩むまでには至らないのではないか

*3:怪獣や怪人に感情があるかというのはヒーローものでは頻出のテーマ。最近だと、『ウルトラマンZ』において、卵を守るために行動したレッドキング父母を見て以降、ハルキが類似の悩みを抱え、スランプに陥る。

*4:おそらく2代目の言う「発生源」

*5:これに関してはグリッドナイト同盟の二人が何よりの証拠