左馬刻様とプライベートの切り売りの問題

本題に移る前に少々個人的な好みを晒しておく。

自分自身少々ミーハーなところがあるようにも思うが、秋アニメ「ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-」にハマった。カッコいいラップに個性溢れるキャラの面々、何より声優さんの声も良い。個人的な推しは、やはり血尿ニキ観音坂独歩。ネガティブながらもしっかりした芯を持っているところ、独特のラップには憧れすら抱く。時折見せる強烈なネガティブ発言など、伊東健人さんによる弱々しい演技も見どころである。

(´-`).。oO(しかしながら、どのキャラも魅力的で、誰を一番に推すべきか少々困ってしまう…)

百聞は一見に如かず、ということでまずはヒプマイを見よう。

二話の強盗ラップや「俺が一郎」なども見どころなので是非!

 

[左馬刻様と結婚・離婚の件]

ヒプノシスマイクに関連して今日話題になったのが、碧棺左馬刻を演じる浅沼晋太郎さんに関する報道だ。過去の結婚・離婚に関して『週刊FLASH』が報じたことを受けて、コメントを公表している。具体的な内容に関しては以下の記事や所属事務所のTwitterなどを確認していただきたい。

www.oricon.co.jp

個人的に疑問に思ったのは、謝罪の形式をとっていること、それからプライベートに土足で踏み込む報道の姿勢だ。

 結婚歴があったからといって何が問題なのだろうか?結婚や離婚は一般人でもするものだし、何より今回の件に関しては不倫のように倫理道徳的な問題を持つものではない。

ファンは声優の浅沼さんが好きなのであって、「結婚相手」として商売をすることを望んでいるわけではない(そういう妄想を抱く人もいるかもしれないが)。何より彼は(擬似恋愛的な関係を売る)「アイドル」ではなく、声優である。彼が謝罪の形式を取ったことから、「芸能人に結婚歴があることを伝えないこと」が「裏切り」であるかのような社会通念が感じられて残念でならない。

繰り返すが、ファンは声優としての浅沼さんが好きなのだ。ホスト相手のように疑似恋愛を求めているわけではないのだ。プライベートを公表しなかったからといって何が問題なのだろうか?結婚歴を明かさなかったからといって困る人は居ないでしょう?「謝罪」という重たい形式を取る必要性を全くもって感じない。寧ろそんなことはせずに堂々としているべきではなかろうか。

報道の姿勢が何より理解しかねる。離婚という話題自体、彼自身にとって重苦しいものであるのに、嬉々としてそれを掘り返す姿勢が理解できない。何が「ファンの衝撃は計り知れない」だ。万一それが事実だったとしても、その「ファン」を傷つける要因となったのは報道そのものではないか。飯を食えればそれでいいのだろうか?報道された芸能人の心を抉ったり、過去を掘り返したり、要らない謝罪をさせたりするのがそんなに楽しいのだろうか?記者の方には報道による影響や責任というものを熟考していただきたい。

 

[報道とプライベートの問題]

バラエティ番組の話のタネに芸能人のプライベートが用いられるのは事実である。好きな食べ物や趣味、休日の過ごし方など、舞台の上では見せないプライベートを知ることで見る側に親近感が湧くのも確かに事実である。芸能人が売れるために、そうしたプライベートを切り売りすることは一部で必要なのかもしれない。

しかしながら恋愛といった人間関係の核の部分に切り込むのはいかがなものであろうか?

趣味などと違って語りたくない部分、踏み込まれたくない部分があっても不思議ではない。不特定多数の人に発言が届く場で話したくないことだってあるだろう。例えば往来に出て自分の恋愛遍歴を大声で語ろうとするような人、そういう開けっ広げに自分の過去を語ろうとする人はかなり少ないだろう。

2年ほど前、ザギトワ選手がバラエティ番組に出た際に恋愛について訊かれ、「いい質問ではない」と切り捨てたことがあった。恋愛はバラエティ番組の質問の「定番」であるが、寧ろ、ザギトワ選手のような視点の方が必要なのではなかろうか。わざわざ他人の心に土足で踏み込もうとする姿勢、他人の過去を抉り取ってまで「面白おかしく」語ろうとする姿勢に疑問を感じる。

 

明かしたくないことの一つや二つ、生きている以上、必ずあるはずだ。

確かに報道には「伝えることが正義」という視点もあるのかもしれない。政治などに対しては通用するものだろう。しかしながら、私人について同じことを語りうるはずがない。他人の過去を抉ってまで生活の糧にしようとするゲスな姿勢、そこに正義を認めるわけにはいかない。

報道の力で弱者に手を差し伸べるはずのメディアが「弱者に付け込む 姑息な奴」になることを許せるはずがない。